礼を失した退職劇 貴乃花親方“唯我独尊”のメンタリティー
貴乃花親方はのちに部屋の先輩力士からイヤというほど“かわいがられた”という。苦労知らずの2世のボンボンで生意気なガキだったからだそうだ。いかにもありそうな話だが、そんな先輩たちをやがて力で黙らせることになる。ヤマほど稽古を積んで横綱に。力士として、土俵の上で頂点を極めた。
あくまで実力本位。力の強い者が頂点に立てる現役時代はそれでもよかった。
が、引退してからは違う。相撲が強かったからといって、現役時代の実績だけで組織の中でうまくやっていけるはずがない。まして人を束ねられるはずがない。調整能力やバランス感覚、同僚からの信頼も必要になる。
貴乃花親方はしかし、自分は特別な存在、力も強いのだという、幼少期や現役時代の思考そのままにここまできたことが周囲との軋轢を生んだ。「子供のころから人の言うことを聞かない。それはいまも変わっていない。子供がそのまま大人になった感じ」とは前出の親方だ。