ドジャース前田 好調の秘密は大谷を上回るボールの回転量
ドジャース・前田健太(30)が好調だ。
今季は8月中旬に先発から中継ぎに配置転換され、ポストシーズンはナ・リーグの地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズの計3試合(2回3分の1)を2安打、無失点、2三振と安定した働きぶりだ。
前田は抜群の制球力に加え、キレのあるスライダーに定評があるものの、強みはそれだけではない。
直球の伸びやキレを示す指標とされるスピンレート(1分間の回転数)は2298。メジャー平均の2263を上回っている。同じ日本人投手と比べると、カブス・ダルビッシュ(2524)、ヤンキース・田中(2405)には及ばないが、ダイヤモンドバックス・平野(2214)、パドレス・牧田(2021)、エンゼルス・田沢(2253)を抑えて日本人リリーバーではトップだ。エンゼルス・大谷は2164で、前田は回転数だけで比較すれば、160キロ右腕よりも伸びのあるストレートを投げていることになる。
「先発と違い、ペース配分を考えずに済むことが好結果につながっている前田は、リードしている場面のみ起用され、役割分担もはっきりしている。最初から全力で行けるだけに、先発時と比べて腕の振りは格段に良くなっています。リリーフ登板時のデータは分かりませんが、腕が振れている分、先発時よりも回転数は増しているはずです。前田はもともと、テークバックが小さいため、直球のスピンレートがアップしたことで、相手打者はタイミングが取りにくいのではないか。かつてレッドソックスで守護神を務め、13年の世界一に貢献した上原(現巨人)がそうだったように、相手打者は球速以上に速く感じているはずです」と、Jスポーツ大リーグ中継で解説を務める評論家の三井浩二氏。
前田の平均球速は92マイル(約148キロ)。メジャー平均93.2マイル(約150キロ)にも満たない直球がチームのリーグ連覇の鍵を握りそうだ。