反町康治さん<5>ストレスに感じた“サラリーマン”の肩書き
「Jクラブの中心選手がサラリーマン」――全日空の社員として横浜フリューゲルスの試合で活躍する反町さんにメディアは注目した。
「サラリーマンJリーガーって、実はほかにも何人かいたんです。それなのに騒がれるのは俺だけで、社員だってことばかりがクローズアップされた。これはストレスでしたね。俺も同じサッカープレーヤーだ、11分の1の選手だよって、思っていました」
Jリーグ加盟を機に練習は午前中に変わり、合宿もどんどん入るようになった。半ドンで働くことも難しくなり、反町さんはフリューゲルスの運営会社「全日空スポーツ」に出向した。
「デスク作業がなくなって、サッカーだけが仕事になったんです。このときも、しばらくしたら本体に戻って、会社員として働くことを考えていました。開幕の直前にチームの乗った飛行機がトラブルに見舞われたときも、全日空の社員として、やるべきことをやりましたからね」
■航空機のトラブルでケガ人を救助
93年5月2日、鹿児島合宿を終えて全日空機で羽田に戻った際、着陸直後の客室内に煙が充満し、乗客が緊急脱出したことがあった。反町さんは非常口で声を張り上げて乗客を誘導し、自らは最後に脱出。地上でヒザから血を流している乗客を発見すると、医務室までおぶって連れて行った。