今後なでしこベテラン4人はもっと“ベテラン風”を吹かせて
【特別寄稿】早草紀子(フォトジャーナリスト)
なでしこジャパンのフランスW杯がラウンド16で終わった。オランダとの決勝トーナメント1回戦は、先制を許すも今大会に入って初めて前半のうちに追いついた。
決定機も多く作った後半だけに悔いの残る結果となった。
終了間際にDF熊谷紗季(リヨン)のハンドによるPKが決勝点となったが、守備の人間であれば、シュートに入ったところのブロックに入るのは当然のこと。これまでもDF市瀬菜々(仙台)が、ハンドでPKを献上した際にも「仕方のないこと」と一蹴。むしろファウルを警戒して、最後の一歩を出せなくなることを恐れていた。
無情にも、そんな熊谷にハンドの判定とイエローカードが出てしまった。
終了後のピッチではリヨンでともにプレーするMFファンデサンデンに健闘を称えられると、熊谷の涙腺は崩壊した。
日本選手の前では、いつも気丈な熊谷が見せたキャプテンとしてではなく、一人のプレーヤーとしての姿だった。
フランスW杯を目指すチームが発足すると牽引力を買われ、当然のようにキャプテンを任された。
日頃、フランスでプレーする熊谷は毎回の代表活動に参加することは叶わなかったが、それでも合流すれば、必ず毎回複数名投入されている“名前も知らない選手”たちの特長を知ろうと自ら話し掛けていった。若い選手を生かすには<自分が彼女たちを知らなければならない>という一念を持ち続けた3年間だった。
「プレッシャーに行ってるつもりでも、実際にはまたくボールに行けてない」と、若手に厳しいことを伝えたときもあった。