「なんで俺を呼ばへんのや」南野拓実の苦闘5年と無精ひげ
「なんで俺を呼ばへんのや。俺だって代表に行ったらできるで」
ハリルホジッチ日本代表に招集されず、くすぶっていた2016年末。
南野拓実は、所属先ザルツブルク(オーストリア)に魅力的なオファーが届かず、何度か現地に足を運んだ筆者に不完全燃焼感を吐露した。苦境に耐える様子を醸し出していた苦労人が3年後、日本のエースと欧州王者リバプールの一員の座をついに手にした。
20歳前の2015年1月、ザルツブルクに移籍した南野が「18年ロシアW杯はエース級の活躍をする」と筆者は当然のように考えていた。
しかし、ザルツブルクで絶対的なエースになり切れず、代表でもハリル時代の15年10月のイラン戦でデビューしたが、出場時間は2分! 翌11月のカンボジア戦は4分! ハリルは南野に見向きもしなくなった。
気性の荒い大阪・泉南生まれのガツガツした若武者が、こんな冷遇に納得できるはずがない。それでも「監督が使いたいと思う選手になるために結果を残すしかない」と必死に言い聞かせている彼の表情が筆者の脳裏に焼き付いて離れない。