【追悼・池永正明氏】同級生のライバル山崎裕之氏が語る「天才投手の凄み」
相手が誰であろうと物おじしない度胸も、すぐにプロで通用した要因だと思う。ベテランの榎本(喜八)さん(当時28歳)やパリス(当時35歳)といったオリオンズの中軸打者を迎えても、厳しい内角攻めのボールをどんどん投げてくる。打者がのけぞると、覚えたばかりのスライダーやシュートをコースギリギリに投げて、あっさり料理する。
その投球術は新人離れしていて、どのチームの選手も「すでに完成された投手だな」と絶賛していた。
先輩プロたちをうならせたのはピッチングばかりではなかった。
「大好きなんだよ」とボクに語っていた打撃にも、目を見張るものがあった。試合前の打撃練習では、腕まくりしながらベンチから出てきた。平和台球場では外野スタンドの上にある看板に当てたり、気持ち良さそうに場外へ飛ばしていた。打者としても、間違いなくプロでやっていけるだけの腕を持っていた。
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この年池永はいきなり20勝(10敗)をマークして新人王に選ばれた。防御率は2.27とすばらしい成績だった。