初シードの重圧かかる菅沼菜々ちゃんを「脅し」たことがあるんです

「ちょっとお話があります。いいですか?」
初めて菅沼菜々ちゃんのキャディーをやったのはコロナ禍の2021年。3月の明治安田生命レディスの練習日に声をかけられたのがきっかけでした。
「梅原さん、今年どこかで(バッグを)担いでもらえませんか」
菜々ちゃんは僕の目を真っすぐ見ながらこう言いました。7月の資生堂レディスでコンビが実現。パットとアプローチがうまいことはすぐにわかりました。とくに、真っすぐ転がすパットの技術は天才的。上りのストレートラインなら7~8メートルあってもほとんどカップに当たります。ただし、下りでも強気にヒットするのでたまにカップを外すと距離が残り、3パットもありましたね。当時はまだショットが荒れていましたが、小技でスコアをつくれるので、「ショットが改善されれば、必ず上位にくるな」という印象でした。
ひとつ気になったのは精神面。ミスをすると気持ちを切り替えられず引きずることがある。その点は徐々に改善され、同年後半は予選落ちはなくなり、三菱電機レディスでは優勝した渋野日向子ちゃんに3打差の3位タイ。初シードが見えてきました。
この年のシードは、賞金とメルセデスのどちらかのランキング上位50人に与えられます。次戦は日米ツアー共催のTOTOジャパン。前年に続きコロナの影響を受け、米ツアーの選手は参戦せず、国内選手だけの4日間大会。菜々ちゃんはここで19位。残りの伊藤園とエリエールで予選落ちしなければシード確定と見ていました。
ところが、伊藤園の初日は78と崩れて68位と出遅れます。初シードのプレッシャーがあったのでしょう。そこで思い切った策に出ました。
「菜々ちゃん、明日予選落ちしたら
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