災害時の医療支援は必ずしも美談ばかりではない
今年2月、災害医療チームの一員として能登半島地震の被災地に入りました。災害において支援に入った方を悪く言う報道はほとんど見かけませんが、必ずしも美談ばかりではありません。私自身、災害医療に関する知識は十分ではないため、「あの時、このようにすればもっとよかったのではないか」などと考えることがあります。
支援に入る医療者の中には強い使命感を持っている方も多くいます。東日本大震災の支援に入った時の私がまさにそうでした。アドレナリンがドバドバ出ていたのでしょう、24時間不眠不休でも活動できそうに感じていました。しかし、活動は16時終了で派遣場所から引き揚げというスケジュールが組まれ、「もっと活動していたい、役に立ちたい」と感じていました。
そこで、宿泊場所に帰ってからもできることを探し、現場のマニュアルを作るなど夜間まで活動していました。当時はまだ若かったので撤収するまで体力がもったのですが、帰ってからドッと疲れが出てしまいました。本来、業務に大きな支障が出てはいけないのに、ひどく疲れてしまっていたのです。