荒川隆之
著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

被災地では余った医薬品の対応が手つかずになりやすい

公開日: 更新日:

 今年2月、災害医療チームの一員として能登半島地震の被災地に入りました。2011年の東日本大震災の時もそうでしたが、私が現地入りした時期はいずれもどちらかというと災害医療を引き揚げる段階のタイミングでした。

 この時期は支援物資に過不足があり、モノやヒト、医薬品があふれているケースもあります。今回も使用期限が近く、必要性が少ない医薬品を大量に見かけることがありました。東日本大震災の時もインフルエンザ治療薬が避難所の救護所に山のようにあったことを記憶しています。

 支援物資の緊急輸送は、プッシュ型支援とプル型支援に分けることができます。発災直後は、被災地の状況や支援物資のニーズを把握することが困難なので、被災地域からの具体的な支援要求を待たずに予測に基づいて物資を供給することになります。これがプッシュ型支援です。物資を迅速に被災地域へ届けられるというメリットがある一方、被災者の要求やニーズを把握していない状況で送るため、支援物資の過不足が生じるデメリットもあります。

 これに対してプル型支援とは、支援物資のニーズ情報をしっかり捉えることができた被災地へ、ニーズに応じて物資を供給する方法です。私が行った時期は、各所で適時プル型支援に切り替えて対応されているケースも見かけました。ただ、余剰となった物資や医薬品の対応は手つかずとなりがちです。

■関連キーワード

最新の健康記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  2. 2
    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

  5. 5
    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

  1. 6
    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

  2. 7
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  3. 8
    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

  4. 9
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 10
    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見

    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見