「ほんの数行」和田誠著
イラストレーターとして、装丁家として多くの本とかかわってきた著者が、1000冊を超える装丁した本の中から100冊を選び、心に残った数行を紹介しながらその本にまつわる思い出を語った一冊。収録されている本は、エッセー集から翻訳本、対談本、ドキュメンタリー、自伝、パソコンのガイドブック、青春小説、子育て本、懸賞や公募に対する選評を集めた本、インタビュー集、日記、アンソロジー、伝記、戯曲集、コラム集、落語本、人生相談に至るまで、多岐にわたる。
たとえば、星新一のショートショート本の場合、意外な落ちがイラストによってネタバレしないように気を付けていた話など、装丁家ならではの視点から語られる話が面白い。また抜き出した数行からは、もう亡くなってしまった赤塚不二夫や寺山修司などの著者の人となりが伝わってくる。紹介されている本はバラエティーに富んでいるので、本好きなら思わぬ掘り出し物を見つけられること請け合いだ。
(七つ森書館 2000円)