「恐竜は滅んでいない」小林快次氏
鳥類の象徴である羽毛のある翼を、繁殖行動に利用していた恐竜もいたようだ。
「オルニトミムスというカナダとアメリカで発見された恐竜は、羽毛は子供と大人の両方にありながら、翼は性成熟を迎えた大人にしかありません。このことから、求愛するときに羽を広げるなど、現在のクジャクなどと同じく、ディスプレーに使っていたと推測されます」
現在、恐竜を含め約70%の生物が絶滅した生命史上の大事件を超える、大量絶滅期に入っていると著者は言う。
「人類も例外ではありません。いえ、かつての恐竜のように大陸を支配している人類が最も危機的な状態だといえます。人類は生態系の上位にあり、下位にいるさまざまな生物に依存していますが、今やアフリカのライオンは40万頭から3万頭に、哺乳類の25%、両生類はそれ以上が絶滅に向かっている。いつか未来の高等生物によって、『人類は滅んでいない』という本が書かれる日が来るかもしれませんね(笑い)」
その他、恐竜の進化の過程や、ティラノサウルスでも痛風になったことなど、恐竜研究の入門書としておすすめの一冊だ。(角川書店 900円+税)