「死者は語らずとも」フィリップ・カー著、柳沢伸洋訳
1934年、元刑事のグンターは、ベルリンの高級ホテル・アドロンの警備員として働いていた。ある日、グンターはオーナー夫人から、アメリカから来た友人のシャラランビーディス夫人の手伝いをするよう頼まれる。作家の夫人は、アメリカが2年後に迫ったベルリン・オリンピックに参加表明したことに憤慨。ドイツでの人種差別の実態を取材して記事を書くつもりだという。
夫人は、ユダヤ人が殺された事件の捜査が放置されていると聞き、興味を示す。ボクシング選手と思われる被害者の身元を調べ始めた2人は、やがてオリンピック会場建設に関する不正にたどりつく。
英国推理作家協会賞を受賞したハードボイルド・ミステリー。(PHP研究所 1400円+税)