「死刑の基準『永山裁判』が遺したもの」 堀川惠子著
長年、死刑判決のたびに「死刑の基準」として引用されてきた「永山基準」が生まれた背景を追ったルポルタージュ。
永山基準は、1997年に処刑された死刑囚・永山則夫の裁判から生まれた。永山は1968年、盗んだ拳銃で4人を射殺。半年後に逮捕され、1審は死刑、2審は無期懲役の判決が下されるが、最高裁が控訴審判決を差し戻し、死刑が確定する。逮捕から処刑までの29年間、永山は700人以上の相手と1万5000通もの手紙を交わしている。その書簡をはじめ、残された膨大な資料をひもとき、獄中結婚した妻や元裁判官、同級生、親戚などにも綿密な取材を重ねながら、「永山基準」の虚構を暴いていく。
講談社ノンフィクション賞を受賞した力作。(講談社 780円+税)