「テロリストの処方」久坂部羊著
医療費の高騰により人々は高額な医療を受けられる勝ち組と医療を受けられない負け組に分かれ、医師も高額な医療で儲ける勝ち組医師と、経営難に陥る負け組医師に二分された。その勝ち組医師を狙うテロが発生した。
医師免許を更新制にすることで有能な医師と無能な医師を分けるという〈ラジカル・リセット〉を提唱し、全日本医師機構の総裁に選ばれた狩野万佐斗にも「豚ニ死ヲ」と書かれた脅迫状が届いた。狩野は医事評論家の浜川浩に2人の同級生だった塙を捜すことを依頼する。学生時代、教授の不正を糾弾する塙のビラに「豚に死を」の文字があったというのだ。
拡大する医療格差をテーマにした医療ミステリー。(集英社 1500円+税)