「ニッポンぶらり旅山の宿のひとり酒」太田和彦著
全国各地の酒場を訪ね歩く人気紀行エッセーシリーズ完結編。
東京の良さは奥多摩の渓谷にありという。冬の間、都会の居酒屋ばかりにたむろしていた心身を清めるため、早春の野山を歩こうと御岳山・御嶽神社参りへ。ケーブルカーで高低差423メートルをのぼる。日本武尊がめでたという巨樹や、山頂の神社のこま犬など、興味のおもむくままに散策。山を下って、美術館などに立ち寄りながら、日帰りもできるが、旅はその地で一晩眠るのが大切と、「かんぽの宿 青梅」へ。そして今宵は、居酒屋ではなく、山宿でひとり酒を楽しむ。部屋で繰り広げられるひとり酒宴の描写に喉が鳴る。
その他、高山や一関など、達人が旅情と酒を求めて旅をする。(集英社 660円+税)