「捨てる女」内澤旬子著
闘病を機に、それまでのなんでも収集、床積み放題の暮らしとの決別を決意した著者の断捨離をつづった面白エッセー。
乳がんで4回の手術を体験。すると、それまで暮らしていた部屋が、「へどが出るほど見たくないものになってしまった」という。仕事の資料などが作り出すカオスに耐えられず、断捨離が始まる。手始めに、賞味期限が過ぎたドライ食品や、梅酒を飲み終わった後に放置されたままの梅などを恐る恐る口にして消費。さらに家具や本、果ては配偶者まで、捨てて捨てて捨てまくる。重荷だったイラスト原画や収集本まで手放すと、開放感ではなく喪失感に襲われうつ状態になってしまい、捨てるうちに「人生を楽しむ力」まで捨ててしまったようだと気がつく。(朝日新聞出版 640円+税)