「悪い夏」染井為人著
佐々木守は船岡市役所の生活福祉課で生活保護受給者のもとを回るケースワーカーをしている。もう治っているのに腰痛だといって働かない山田など、くせ者ぞろい。その上、山田の診察をしている医師は、生活保護受給者を利用して高い医療費を請求している悪徳医師だ。ある日、同僚の富田有子が、先輩の高野の悪行に気づき、佐々木を誘って調査を始める。高野はシングルマザーの愛美が風俗店でこっそり働いていることをつかみ、肉体関係を強要していた。それを知ったヤクザの金本は、受給者を利用した裏ビジネスを思いつく。真面目な公務員の佐々木は、いつしか悪のスパイラルに巻き込まれていく。
横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。
(KADOKAWA 1500円+税)