「私を愛して下さい」西村京太郎著
十津川らは、旅行作家の菊地が殺された事件を担当。元妻のまさみによると、菊地は数日前まで岩手県宮古市に取材に行っていたという。十津川らはまさみと一緒に宮古に向かう。
聞き込みで、菊地が姫川村を訪ねていたことが分かる。訪ねると、地震と津波の痕跡が残る村に人の気配はない。十津川らは寺の跡地で、人の手によって粉砕された石碑を見つける。かつて村には早瀬一族と呼ばれる人々が住んでいたらしい。村の歴史に詳しい郷土史家の野々村によると、早瀬一族は伊達政宗に潰された宇津木藩に仕えた水軍だという。早瀬一族の末裔(まつえい)と戦争中の特攻隊員の関係を聞いた十津川らは、特攻基地があった鹿児島に飛ぶ。
陸軍幼年学校出身の著者が戦争の真相を問い直す長編ミステリー。
(集英社 880円+税)