「同潤会代官山アパートメント」三上延著
1927年、竹井と八重の新婚生活は、できたばかりの同潤会代官山アパートで始まる。実は、竹井は4つ下の妹・愛子の婚約者だった。八重は、病気で早世した両親に代わって家業の小間物屋を切り盛りして愛子の成長を見守ってきた。しかし、結婚直前、愛子が関東大震災で亡くなってしまったのだ。生前愛子が話していたように、竹井も八重も無口でどこか性格が似ていた。そして震災から4年後、八重は請われて竹井と夫婦となった。
しかし、八重は規則が厳しい近代的なアパートの暮らしにどうもなじめない。ある日、思わず愚痴を漏らすと、竹井の口からは思ってもいなかった言葉が返ってくる。
同潤会アパートを舞台に4代、70年に及ぶ一家の物語を描く大河小説。
(新潮社 649円)