「あたしたち、海へ」井上荒野著
中2の有夢と瑤子は、休日、自転車で海が住んでいるはずの町に向かう。幼馴染みで親友だった3人は、私立の女子中学校に進学。しかし、1年前のマラソン大会を機に、クラスを仕切っていたルエカに逆らった海はいじめに遭い、転校を余儀なくされたのだ。ルエカに逆らえない有夢と瑤子は、海の家と通う学校を突き止めるために、意に反して、海の住む町まで遠征する。
夏休みに入り、有夢らの担任の奈緒は、生徒の皐月から1枚のビラを見せられる。ルエカがしていることに、うすうすは気づいていた奈緒だが、それがまだ終わっていなかったことを知る。
大人の前では明るく振る舞いながら、今にも壊れそうな心を抱え、過酷な日々を送る少女たちの現実を描く長編小説。
(新潮社 649円)