「この歌をあなたへ」大門剛明著
29歳の蒼衣は交際中の歯科医・富岡から念願のプロポーズをされるが、なぜかその時になって返事に迷う。一方、蒼衣が養護教諭として勤務する小学校でいじめが発覚。校舎から飛び降りようとした被害者の転校生・蓮を救ったのは、臨時の事務職員・野川だった。
ある日の放課後、蒼衣は音楽室でピアノの弾き語りする野川の姿を目にする。普段は他人と距離を置く野川だが、その歌声は蒼衣の心に響く。不登校が続いていた蓮が再び登校するヒントをくれたのも野川だった。ひょんなことから野川の妹・朋美と親しくなった蒼衣だが、ある日、野川と朋美の兄が19年前に社会を逆恨みして街中で無関係の通行人8人を殺害した犯人だと知る。
加害者家族の苦悩を描く長編小説。
(祥伝社 869円)