(119)幻覚であればよかったのに
虫を泣かせてしまった。綾瀬の当惑が空気に伝染した。
緑の飛蝗が飛んだ。強いジャンプ。そして美しい跳躍だった。
綾瀬は見上げた。どこにもない岩の顔を仰いだ。見たか。ぼくにも性根がある。
アトリエが滞っている。
製作途中の作品が綾瀬によそよそしい。不…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,271文字/全文1,411文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】