「てさばき」梶よう子ほか著
「てさばき」梶よう子ほか著
おちえは、「とむらい屋」と呼ばれる颯太のもとで化粧師として働く。おちえが11歳の時、娘をかばって馬に蹴られて命を落とした母の死に化粧をしてくれたのが颯太だった。その母の顔は今までで一番きれいだった。
ある日、仲良しの紅粉屋の娘お民と会うために店を出ようとすると同心の韮崎が店に入ってきた。聞くと船宿で身元不明の若い女の遺体が見つかったという。実はこの3カ月で同じような不審死が続き、いずれも顔にあざがあったという。おちえは、彼女たちがあざ消しに使用していた薬が、お民の部屋にもあったことを思い出し、居ても立ってもいられなくなる。(梶よう子著「艶化粧」)
坂井希久子ら名手6人が女職人たちを主人公にして競演する時代小説アンソロジー。 (徳間書店 924円)