「ジョバンニの島」原作脚本 杉田成道
こうやって北方領土は侵攻され、家や土地を占拠されたのか――。ソ連軍から収容所送りにされ、やがて島を追われた住民の体験談をもとにした本作が評判だ。ドラマ「北の国から」などの演出家、杉田成道氏(70)の描く少年の物語である。
――そもそもなぜ、北方領土だったのですか。
「得能宏さんらから貴重な体験談を聞かせていただいたのが大きいですね。得能さんは今、根室に暮らし、80歳になられるのですが、とても克明に当時のことを記憶されていました。驚くとともに、私も樺太で当時の日本の小学校や収容所が吹きっさらしになっているところを目の当たりにして、この問題の実態に触れた気がしたんです。それで、これは世に伝えるべきだ、10年後も語り継がれる作品にしたい、と。実写を想定していたのですけれど、単なる戦争映画にしたくなかったこともあり、アニメになりました」
――完全武装の軍隊が土足で授業中の小学校に踏み込んでくる場面がある一方で、住民とロシア人との交流も描かれていますが、どの程度、史実なのですか。