「自転車で邸宅を探した」 六角精児が語った“松田優作愛”
「コンサートを見に行ったら、上下白のスーツでビシッと決めた工藤さんと同じ格好をしているファンの人たちがいたんです。“それはカッコ悪い。墓穴を掘るな”と。スリムな体形じゃないとあれは着こなせないわけですね、やっぱり。オーバーは渋谷の百軒店の古着屋で救世軍の社会鍋のような安古着の山から見つけました。色違いで2、3着用意して着まわしていましたが、そのうちの一着は虫が食ってて。それでも無精ひげにロン毛のおかっぱ頭で3年近く、このスタイルでした」
芸歴はすでに20年以上。トレードマークのおかっぱ頭も、ちょっぴり風変わりな芸名も浸透した。
「明確な俳優としての目標があるわけではないんです。僕のようなブサイクで非現実的な役者でも、ひとつひとつ目の前にある仕事を一生懸命やれば、運良く必要とされるようになる。俳優は『待ち』の仕事。そしてそれがいまにつながっているんだと思います。実は年に1、2回、『六角精児バンド』としてライブ活動を続けているんですが、音楽で売れる可能性はまずありません。でも、自分の好きなことができる環境にいられることがうれしい。俳優であり、少し音楽をやっているという今の僕の状況が、二枚目の大俳優であり、カッコイイ音楽をやっていた松田さんの世界と同じだとすれば、隅っこでもとても幸せです。そう考えると僕もカッコイイ? うん、カッコイイです」
▽ろっかく・せいじ 1962年兵庫県生まれ。神奈川・厚木高校時代の演劇部員と劇団「善人会議」(のちに「劇団扉座」に改名)を結成し、現在も所属。学習院大中退。27日スタートの日曜劇場「ルーズヴェルト・ゲーム」(TBS系)に出演。役づくりのため、現在はおかっぱ封印中。