タレントの“自宅公開”企画 ゴールデンタイムになぜ増えた?
まず、老朽化したり雨漏りのある家を放送するパターンは「ビフォーアフター」にあやかったパクリ企画だ。改装を請け負う会社とタイアップをとっているので、予算が少ない番組としてはありがたい。
さらに、最近は都心でのロケも気軽にはできなくなっている。商店街によっては映画並みに許可が必要な場所もある。80年代までは許可をとらず、ゲリラロケ(断りもせず町中で撮影)していたが、そういうことはもうできない。さらに、これは自主規制もあるが、商品の看板が映り込んだらモザイク処理したり、通行人にもプライバシーの問題がある。
自宅なら他人は映り込まないし、商品名が入った物は片づけさせればいい。はっきり言えば「出演させる代わりに家を撮らせろ」というわけだ。この手の番組が全部そうとは言わないが、予算節約と許可の問題で、タレントの部屋を“スタジオ化”した安いバラエティーは今後も増えるだろう。
「今夜くらべてみました」は、貧乏な無名アイドルの汚れたアパートを映していたが、アダルトビデオのオープニングシーンみたいに見えた。アイドル同様、テレビ局も本当にお金がないみたいだ。だからといって金が使えれば解消する問題でもない。作り手に能力がない証拠じゃないか。
(作家・松野大介)