“ポルノの帝王”久保新二氏が語る楳図かずお氏との共同生活
それで勝新太郎さん主演の「兵隊やくざ」(65年、増村保造監督)や、NHKの朝ドラ「たまゆら」のロケ現場で一緒になるうちに、妙に気が合っちまってさ。自宅が千葉県習志野市だから、都内に通うのに金も時間もかかって困ってたオレの餌食、いやいや、同情して居候を誘ってくれた。
アパートは西池袋、目白3丁目辺り。4畳半1間、煮焼きできるぐらいのチッコイ台所があるだけ。風呂なんてない。トイレはポットン式の共同だよ。
■居候なのに家事は楳図さん任せ
そりゃあ、生活は質素さ。オレは定職なんて持ってないから、いつもピーピーで。兵隊映画で、坊主にしたらギャラは5000円上乗せって聞いて、真っ先に床屋に行ったなんてのも懐かしいよ。エキストラの日当が1000円前後だから、破格だったもんな。
楳図は楳図で、毎日腹ばいで気持ち悪い漫画を描いてた。今、振り返ると、66年に講談社の「週刊少女フレンド」に連載されて評判になった「ねこ目の少女」「へび少女」の原点になる作品だったんだろう。悪いけど、オレには理解できなかった。