角川春樹さんから「作家の証明書になる作品を」と突然依頼された森村誠一氏

公開日: 更新日:

 40年前といえば、私は作家デビュー10年目。作家として、ようやく「上り坂」を歩んでいたころでした。まだまだ駆け出しだった自分の家に突然、訪れてきたのが、角川春樹さんです。1974年の11月2日のこと。当時の手帳は今も大事に保管してあります。

 当時の春樹さんは「次期社長確定」といわれていました。当時は出版社のお偉方でも編集長クラスが執筆依頼に来るくらいでしたので、“大物”の来訪にとても驚きました。春樹さんは「社運をかけた角川書店初の月刊文芸誌『野性時代』に目玉となるような連載をお願いしたい」と私を熱く口説いてきた。

 中でも印象的だったのは「作家の証明書になるような作品を書いてほしい」という言葉です。驚きながらも、「証明」という言葉にビビッときた私はタイトルを「青春の証明」にしようと決心したのです。

 ところが、いきなり壁にぶち当たってしまいます。非常にいいタイトルだったのですが、「証明」というテーマが大きすぎたのか、頭が真っ白に……。1カ月ほど迷いに迷いましたが、結局、締め切り日には間に合わなかった。この時は本当に申し訳なくて、角川書店にお詫びも入れました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動