角川春樹さんから「作家の証明書になる作品を」と突然依頼された森村誠一氏
私が「人間の証明」を書いていたのは、戦後30年経過した米ソ冷戦時代。当時の日本はある意味“ムシのいい”立ち位置だったと思います。米国の核の傘に入り、国軍を持たない代わり、自衛隊という強力な“用心棒”が守っている。おかげで、日本はビジネスの相手として世界中から信用を得ていました。そんな状況を可能にしたのが「憲法9条」だったのではないでしょうか。
当時は平和憲法の柱が大きく揺れることはありませんでしたが、今は違う。9条は、「戦争だけは二度とご免」という日本国民の総意です。いまの国会議員の多くは、戦争を体験していない。自分の家族や子供が戦争に駆り出される事態になったら、何を思うのでしょう。特に12年に安倍政権になってからは、日本が「戦争できる国」に急速に変身しつつあります。明白な危険は安倍政権です。