映画「マイ・インターン」のデ・ニーロで理想のシニアを学ぶ
「アーティストが引退するのは音楽がなくなったから。僕の中にはまだ音楽があります」
これは映画「マイ・インターン」で“70歳の新人”ベンを演じたロバート・デ・ニーロ(72)のセリフだ。ベンはアン・ハサウェイ(32)演じるジュールスが経営するファッションサイトの「シニアインターン」に応募。自己PRビデオのカメラに向かってこう言ったのだ。
ベンは電話帳の印刷会社で40年間、勤めあげてリタイア。妻に先立たれ、初めは余生を謳歌しようと、たまったマイルで海外旅行を楽しむも、家に帰ると誰もいないむなしさに襲われる。子供や孫に甘えすぎてはいけないと思っていたとき、シニアインターンに合格。社会への“現役復帰”を果たす。
この映画、あくまで視点の中心はアン演じるジュールス。ファッション雑誌業界で奮闘する女性と厳しい女上司を描いた映画「プラダを着た悪魔」(06年公開)の続編という宣伝文句も手伝って、観客の多くが女性だ。
しかし、中高年男性ならずとも注目すべきはデ・ニーロ演じるベンの存在感と名言だ。舞台となるIT企業はスーツやネクタイとは無縁の服装で働く社員がほとんど。「うちはカジュアルでいいのよ」と年下の上司に言われても毎日スーツで出社するベンは、年下の若いインターン仲間に「ハンカチなんて何のために持ってるの?」と聞かれ、「女性の涙を拭くため」と即答する。