興収30億円確実視…正月映画の本命は「007 スペクター」
正月映画が続々と公開されている。大本命は12月18日公開の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」だが、「007 スペクター」が絶好調。平日でも、多くの劇場で盛り上がっている。
8日には早くも興収10億円を突破。30億円突破が確実視されている。観客は、往年のファンの年配者に加え、30代、40代のカップルも目立つ。「007」という看板は大きいが、それだけで大ヒットするほど、興行は甘くはない。前作の「スカイフォール」から監督がサム・メンデスに代わったことも大いに影響ありで、映画の出来栄えがなかなかいいのだ。
アカデミー賞作品賞を受賞した「アメリカン・ビューティー」の監督。冒頭からメキシコの古びた建物の上を疾走するボンドが格好いい。演じるダニエル・クレイグは以降も見せるスーツ姿の着こなしが天下一品なのだ。バランスのとれた筋肉質の肉体に包まれたスーツ姿に、女たちは当然ながらいちころとなる。
イタリアのセクシー女優、モニカ・ベルッチが少し年はとったが、あでやかな姿で登場するのがうれしい。ボンドが徐々にじらしながら、彼女と関係を迫っていく場面など、ショーン・コネリー版を思い出すほどセクシーであった。
メンデス監督は「アメリカン・ビューティー」でも、どろどろした性のドラマを描いた。「007」の魅力のひとつが、ボンドの派手な女関係なのだが、この監督はそのエッセンスをよく心得ている。だから、面白いのだ。大人の正月映画の本命は、これだ。
(映画ジャーナリスト・大高宏雄)