トレンディエンジェルの“ハゲネタ”が他と一線を画す理由
男性のナルシシストは得てして嫌われてしまいがちなもの。ただ、彼の場合、頭部のインパクトが強すぎて、どんなにキザに振る舞ってもイケメンには見えない。ハゲがあるからこそ、格好つけたときのマヌケさと面白さが引き立つ。それがトレンディエンジェルのハゲネタが他の芸人と一線を画す理由だ。
身体的な欠点をネタにする芸人は多いが、トレンディエンジェルは決して卑屈にならず、堂々と開き直っているところが異質。同じく薄毛キャラで知られるブラックマヨネーズの小杉竜一も、斎藤のあまりにポジティブすぎる考え方には違和感を抱いていたほどだ。それだけお笑いとして新しいことをやっていたからこそ、『M-1』の場でもその革新性が審査員に高く評価されたのだろう。
初日の出のように光り輝く2人の頭をテレビで見れば、2016年も年の初めから縁起がいい。今年も一年、毛がなく(怪我なく)過ごせること間違いなしだ。
(お笑い評論家・ラリー遠田)
▽らりー・とおだ 1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在はお笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。主な著書に「逆襲する山里亮太」(双葉社)など。