映画館に「都心回帰」現象 シネコン乱立の新宿大賑わい
昨年の映画界は年間の興収が2100億円台になりそうな見通しだ。これは2000年以降で最高だった10年の2207億円に迫る成績。1社に集中しがちなヒット傾向など個々の問題点は山積しているが、数字だけを見る限りにおいては、いい年だった。
作品では洋画の強力シリーズものが強かったが、映画館側から見て特徴的なことがひとつあった。都内・新宿の興行シェアが格段に上がったのだ。これは昨年4月にオープンしたTOHOシネマズ新宿の存在が大きいが、それだけではない。
近くにある既存館の新宿ピカデリー、新宿バルト9ともに収益を落とさず、昨年の新宿地区全体の興収が大幅に上昇したのである。普通、近隣にシネコンができれば、既存館は当然のように数字を落とす。だが、新宿はそうならなかった。
10年ほど前、新宿地区は全体の興収が50億円前後にまで下がったことがあった。それが新宿バルト9、新宿ピカデリーができて以降、75億円前後にまで回復。さらに新シネコンができた昨年では100億円を超えるところまで伸びるだろうと推測される。