人気ドラマ下支え 杉本哲太は物語に深み出す“隠し味”俳優
渡辺えり(61)や堤真一(51)、段田安則(59)といった舞台出身の俳優が多く在籍するシス・カンパニー所属。杉本自身は「横浜銀蠅」の弟分としてデビューし、神奈川・藤沢では知られた暴走族メンバーからリーゼントヘアのロッカーを経て、今から35年前の連ドラ「茜さんのお弁当」(81年)への出演を機に俳優の道へ。そんな杉本の演技の“地金”となっているのが「名匠・熊井啓監督との出会いです」というのはさる映画関係者だ。
「20代のときに熊井監督の『式部物語』『ひかりごけ』『深い河』といった文芸大作に出演。熊井組の現場で徹底的に鍛えられた。奥田瑛二ら先輩たちの凄みにも触れた経験は役者としての“足腰”の強さにつながっている」
近年の当たり役といえば、朝ドラ「あまちゃん」(13年)のコミカルな駅長役も。その後はすぐさま、「隠蔽捜査」(14年)で民放連ドラ初主演をゲットし、古田新太(50)らとともに上層部と現場の板挟みに悩む刑事を好演。中年俳優の底力を見せた。
「長年のキャリアを今まさに開花させている印象。演出家レベルで自分に求められる役割を察するから、使う側も起用したくなる。悪目立ちすることなく視聴者と制作陣の心に“杉本哲太印”を刻んでいく。貴重な存在ですね」(前出の碓井氏)
勢いのある中年俳優といえば遠藤憲一(54)が頭一つリードした感があるが、エンケンに続くのは“スギテツ”だ。