貯金崩して映画製作 50代サラリーマン山本一郎監督の決意

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70年前のザラ紙の脚本に魅了され……

 今作の製作にはベテランから気鋭まで日本アカデミー賞常連の実力派が名を連ねている。本当に人望がなければ、集めることはできないだろうが、「“プロデューサーが榎(望)さんだから”、“撮影が佐々木原(保志)さんだから”、“企画に大野(裕之)さんが関わっているから”と参加してくださったかたが大勢います。5つぐらいの楕円形がまとまってひとつの円形になったチーム。その原動力のすべては所蔵されていたホンにあります。表紙に『松竹映画大船作品』と記された70年前のザラ紙の脚本に魅了されました」。

 物語は、脚本が書かれた昭和19年の戦中当時から70年後の日本を思い描いたパラレルワールドが舞台。規格もモノクロ、スタンダードサイズ、モノラル音声で、一発撮りにこだわった。

「特殊な作品ですが、自分の思いをくみ取ってくれる人がいると分かり撮って良かったなあって。作品の良し悪しを判断するのは見てくださる方がた。映画に対する評価は、関わってくださった皆さんの評価にもつながる。サラリーマンの仕事と違う未知の経験です」

 昨年11月にベラルーシで行われた第22回ミンスク国際映画祭で特別賞を受賞。日本での一般公開まであとわずか、山本監督は緊張と不安、お披露目できる喜びを胸に毎日を過ごしている。

 キャストは神戸浩や田畑智子も。今月14日なんばパークスシネマ(大阪)を皮切りに、28日ユーロスペース(東京)ほか順次公開。

▽やまもと・いちろう 1963年大阪府生まれ、京大法学部卒。KYOTO映画塾を経て、松竹入社。大島渚監督「御法度」(99年)ではアシスタントプロデューサー、山田洋次監督「たそがれ清兵衛」(02年)、「武士の一分」(06年)、「おとうと」(10年)や崔洋一監督「クイール」(04年)などにプロデューサーとして携わる。現在は同社メディア事業部所属。

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