加納英吉のモデルはバーニング周防さんよりもっと大物
碓井 加納英吉は視聴者の想像力を刺激する人物でした。
倉本 「加納英吉のモデルは周防さん(バーニングプロダクション代表取締役社長・周防郁雄)ですか」とよく聞かれるんですが、そうじゃない。もっと大物で、小佐野賢治、児玉誉士夫、あるいは甘粕正彦大尉のような人なんですよ。
碓井 甘粕まで入っていたんですか。関東大震災の際にアナキストの大杉栄を殺害し、服役後は満州に渡って満映(満洲映画協会)の理事長も務めました。
倉本 甘粕は陸軍でしたが、加納には元海軍参謀という過去を持たせました。〈暴力犯の陸軍〉に対し〈知能犯の海軍〉といわれたぐらい海軍の能力は秀でており、その「頭脳」を担っていた参謀たちは明晰かつ結束が固かった。海軍参謀とは終戦時に極東裁判で海軍からはA級戦犯を出さないっていう運動をするような組織。2009年放送のNHKスペシャル「日本海軍 400時間の証言」を見て、海軍参謀の面白さを知ったのは大きなヒントになりましたね。
(聞き手・碓井広義)