本家本元の小泉今日子に「キョンキョンですよね」
「林家たい平兄さんと一緒の披露興行でした。池袋演芸場の披露口上でしたか、2人の師匠のさん喬とこん平、それに大師匠の小さん、幹部の志ん朝師匠だったんです。必然的に司会を志ん朝師匠がやることになって。我々ごときの披露目の司会をしてくれたのが大感激でしたね」
二つ目時代から高座で自己紹介する際、「柳家喬太郎と申します。よかったら『キョンキョン』と呼んでください」と言って笑わせていたが、その愛称が浸透して落語ファンの間で「キョンキョン」と呼ばれるようになった。
「つかみのギャグのつもりでしたが、それが愛称になってしまい、本家の小泉今日子さんには一度謝らなきゃと思ってました。それが昨年、小泉さんがエッセーに、『キョンキョンと呼ばれてる落語家さんがいるみたいです』と書いていたのを読んで間もなく、小泉さんが出ている芝居を見に行ったら、終演後にロビーに現れたんです。ここで挨拶しなきゃと近づくと目が合って、向こうから『キョンキョンですよね』と声を掛けて下さった。本家本元のキョンキョンに認知してもらい、天にも昇る心持ちでした。何があっても、生涯この人を守ろうと心に決めました」 (つづく)
(聞き手・吉川潮)
▽やなぎや・きょうたろう 1963年、東京生まれ。89年、柳家さん喬に入門。前座名は「さん坊」。93年、二つ目に昇進し「喬太郎」と改名。2000年、真打ち昇進。14年、落語協会理事に就任。