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吉川圭三映像プロデューサー

1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサー、早稲田大学表現工学科講師を務める。著書に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)、「全力でアナウンサーしています。」(文藝春秋)がある。

長嶋茂雄<後編>明石家さんまを紹介するも「君誰だっけ?」

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 ビートたけしさんはこんな話も耳に入れていた。大島のトライアスロン大会でスターターをつとめた長嶋さん。ピストルを鳴らすと、雨で1発目も2発目も不発……関係者や選手らが動揺する中、突然、司会者のマイクを奪い大声で「ドーン! ドーン! ドーン!」と叫んだ。これで無事スタートになり、その翌年もスターターに。長嶋さんは左手の雨傘を高く掲げ、スターターピストルを右耳の横に持っている。係員が制止しようとしたとき、長嶋さんが耳の横で引き金を引いてしまった。ごう音。さすがの長嶋さんも右耳を押さえ「ワー!」と叫んで座り込み、ピストルを投げ捨てたそうである。

 また、「山芋事件」もあった。群馬でゴルフをした後、農家の方が見事に長~い山芋を野球の神様に捧げようと持ってきた。ゴルフ場の支配人が「こちらでもこんなに長い長芋はめったにないんです。どうぞお持ち帰りください」。長嶋さんは「ありがとう。見事だねえ。じゃあお言葉に甘えて!」と“見事な長芋”をポキポキ折り始め、関係者が呆然とする中、車のトランクに入れて去っていった。

 そして明石家さんまさんがロサンゼルスで長嶋さんとスポーツの取材で一緒だったときの話。現地の知人を紹介してくれるのはいいのだが、「ご紹介しましょう。こちら、日本で有名なコメディアンの……アレ、君、誰だっけ?」と言われ、さすがのさんまさんも崩れ落ちそうになった。また、長嶋さんとさんまさんがアメフトの有名プロチームの試合を解説する際、観客席でウエーブが始まると「いいですね。この雰囲気。興奮しますね」と言いながら、観客と一緒にウエーブをし、「ほら、さんまちゃんも一緒に。楽しいよ!」と誘ったそうである。欧米のさまざまなスポーツの生中継を見ているさんまさんでさえ、1人ウエーブに酔いしれる解説者は見たことがなかったそうだ。

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