毒が入りました。それも談春、志らくという強烈な個性の毒
「談春兄さんは5つ年上ですが、妙に気が合って親しくなりました。その流れで、兄さんが真打ちトライアルの会を開いた時、うちの師匠をゲストに頼んだんです」
真打ちトライアルとは、立川流の二つ目が師匠の談志に真打ち昇進の合否を判定してもらうために開いた会で、談春は国立演芸場で6回開催し、何回目かのゲストに、花緑を通して小さんを頼んだのだ。
「小さん師匠呼べないかなって言うから、呼べますよって、師匠宅へ兄さんを連れて行ったんです。物おじしない人だから、小さんに対しても堂々と頼んでました。小さんは孫の友達の頼みだから引き受けてくれて、『談志はこのことを知ってんのか』と聞いてました。兄さんが、『存じております』って答えたら、『後で気まずくなるといけねえからな』と気を使ってましたね」
当時、落語協会と立川流の関係は友好的とは言えず、小さんと談志の仲も取りざたされていた。そんなさなか、小緑が小さんと立川流の仲立ちをした結果になったので、協会内では話題騒然であった。
「立川流の方々と付き合うのをよく思わない師匠連がいたのを、僕はまったく知らなかったんです」