芸能リポーターあべかすみさん 笠智衆さん宅でガチガチに
「私が大切にしている秘蔵写真はこれです。番組のスタッフと一緒に、笠智衆さんにお会いした時に撮らせていただいたツーショット写真」
笠智衆といえば、「東京物語」をはじめとする小津安二郎監督の名作に出演し、山田洋次監督「男はつらいよ」では柴又帝釈天の御前様として、シリーズに出演し続けた名優。93年に亡くなるまで日本を代表する“おじいちゃん”としても誰にも親しまれた存在だが、プライベートショットは超レアといっていい。
しかし、笠さんの左で硬い表情でほほ笑むあべかすみさんは、これを撮影した時のことをまったく思い出せないという。
「芸能リポーターがこのような大御所の役者さんと、改まって写真を撮らせていただくことは普段ありません。番組のスタッフが写った写真もあるから、撮影は91年から93年くらいかしら。笠智衆さんの晩年のころだと思います。TBSの『3時にあいましょう』でご自宅に取材でお伺いをした際に、一緒に撮らせていただいたものでしょうね」
かすかな記憶をたどると――。
「笠さんは非常にお優しくて、映画で見るのと同じように穏やかな方だった記憶はあります。ご自宅は松竹の大船撮影所近くだったような。確か和風のお宅でしたね。右横にはお庭が見えていますし、部屋は畳の応接室です。壁には笠智衆さんの写真や墨で書かれた絵画、座卓の上には抹茶をたてるような茶器と和柄の入れ物、昔よく見かけたガラスの大きな灰皿も写っています。でも、その部屋の記憶がないんですよね。私がまだ新米でガチガチに緊張をしていたからでしょうね」
あべさんは肩パッドに金のダブルボタンの紺色ジャケット、インナーには白いブラウスを着て御前様に失礼のないように正装している。
「同行したスタッフと笠さんが一緒に撮った写真では、普段はジーンズのスタッフがスーツ着用でした」
対する写真の笠さんはといえば、羽織姿でもてなしている。この時の様子について、スタッフの記憶も飛んでいるというから当時、笠さんがどれだけ大物で、インタビューがお宝物だったのかということになるのだろうか。