13代團十郎襲名 海老蔵を待つ市川宗家の特権と重責と野望
海老蔵は1977年12月生まれなので、42歳での團十郎襲名となる。12代目は38歳で襲名しているので、決して若過ぎることはない。7代目など、6代目の急死を受けて、9歳で襲名したのだ。
■歌舞伎の改革者
歌舞伎には、「年齢を重ねるほど芸が深まる」という考え方が強いので、歌舞伎座の本興行は、年功序列の座組・配役が基本だ。その中で海老蔵は、自分が座頭となる公演にしか出ないので、「大幹部と共演しようとしないのはけしからん」との声もよく聞くが、徳川時代から、「年若くしても座頭になれるのは市川團十郎家のみ」という伝統がある。
團十郎家の役者にそういう特権を与えたのは、徳川時代の歌舞伎関係者のひとつの知恵だろう。何十年かにひとり、改革者を生み出さないと停滞し廃れていくから、それを防ぐための手段として、團十郎家を特権的存在として、やりたいようにやらせてきた。
しかし、松竹が歌舞伎を独占したことで、その伝統が怪しくなり、海老蔵の祖父・11代目は苦労した。その反省もあるのか12代目はあまり波風立たないようにしている人だったが、海老蔵は大胆に、やりたいことをしている。