二極化から共有へ アニメで振り返る“平成ニッポン”の変化
【平成7年】暗い世相の中訪れた転換点
転換点は、平成7(1995)年に訪れた。バブル景気の崩壊に端を発した経済の冷え込み、阪神・淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件などが重なり、世の中が暗いムードに包まれる中、同年10月に「新世紀エヴァンゲリオン」の放映がスタート。
放映の序盤から中盤にかけての、ロボットアニメとしての完成度の高さと、後半で加速度的に深まったキャラクターの内面描写によって引き起こされた、ジャンルの自壊現象の放つ魅力が、世相とシンクロし、アニメファンの枠を超えた多くの視聴者を引きつけた。
文化人、知識人なども巻き込みながら、社会現象を巻き起こしたのである。
時をほぼ同じくして、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」、「AKIRA」の大友克洋監督による「MEMORIES」が劇場公開。いわゆる「ANIME」とカテゴライズされる、世界で評価されるアニメの潮流も生まれた。コアな企画がメジャー化する流れができたのだ。