海老蔵ラスト弁慶、松也大出世…令和元年に相応しい團菊祭

公開日: 更新日:

 平成最初の襲名は1990(平成2)年5月の團菊祭での尾上松助と松也(当時5歳)父子だった。松助は新派役者の子で、二代目松緑の弟子となり歌舞伎界に入ったが、脇役専門だった。襲名披露公演では、普段は主役クラスが演じる御所五郎蔵をつとめられたが、2005年に若くして亡くなったので、最初で最後となった。その役を、松也は襲名でもないのに、つとめている。しかも松助が出た時は「五條坂仲ノ町」の場だけだったが、今回は「奥座敷」「廓内夜更」までを通した。いかに松也が「異例の出世」をしたかが分かる。御曹司でもなく、脇役出身なのに、本人の力でここまできたのだ。

 海老蔵最後の弁慶、丑之助初舞台、菊之助初の娘道成寺、松也大出世と、時代の変わり目を象徴する興行となっている。

(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動