衆愚政治のどん底で我々には大声で笑い合える日が来るのか
アメリカから輸入された「野球」文化の下、山形の田舎の小学6年生たちが野球をしたいために真新しい軟球ゴムボールを手に入れようと、白米を何十キロと背負って、東京上野行きの夜行列車にキセル乗車し、白米を渋谷の闇市で売り歩く。彼ら少年たちの夢はひたすら「野球する」こと。それが「自由」と「民主主義」の象徴になった時代だ。山形の無垢な少年たちは浅草の親家族を失った戦災孤児たちとボールを巡って、丁々発止の冒険を繰り広げる話だ。投資家さん、どうぞ製作にご協力のほどを。
この井上ひさしの自伝的小説は日本の「理想」とは何かを問う爆笑喜劇だ。平和の理念すら知らない戦争好きのバカな国会議員がNHK受信料拒否だけ掲げた意味不明な会派と簡単に徒党を組んでしまうような衆愚政治のどん底で、我々はいつ大声で皆で笑い合える日が来るのかと思う。あの頃の「理想」はどこに消えたのか。何のための再出発だったんだろう。