著者のコラム一覧
原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

法律より世論…日本の民主主義に仏在住・ひろゆき氏が異論

公開日: 更新日:

自動運転の車が人をはねたら?

原田 そんな状況下なら、ITやイノベーションで日本社会を変革するのも難しいでしょうか。

ひろゆき 自動運転の話を例にとると、日本では自動運転の車が人をはねて死なせてしまったら、ものすごいバッシングが巻き起こり自動運転自体をやめようという世論が形成されるでしょう。でも、海外では自動運転の車が事故を起こしても仕方がないし、損害賠償をきっちり払えば、世論としてもそこまで大きな問題にはならない。将来の社会に有益なものだとわかっているからです。キリスト教圏の国では、法律は厳守するけれど法律で明文化されていないことは許される認識を持つ国がほとんどです。法律が規定しない限り人は自由なんです。一方、日本には「法律にはなくても、なんとなくやってはいけない」といった、世論で形成された社会悪を許さない空気感があります。

原田 本来、何についてもリスクゼロってありえないんですけどね。例えば食べ物に異物が混入していたら、工場を止めたり、市場に出回っている商品すべてを回収したり。“悪平等”というかなんというか……。

ひろゆき 海外では多少のリスクがあっても社会に必要なものはきちんと開発が進んでいきます。ほんの15年ほど前まで、ラジコンの技術は日本の独壇場でした。でも、ドローンがはやり始めたときに勝手に飛ばすのはいかがなものかとドローンバッシングが巻き起こった。他国ではドローン市場が伸び、上場企業も出てきています。基礎部品を納品だけして利益は海外にすべて持っていかれてしまいました。

原田 法律でがんじがらめに縛ってしまい、国内のドローンの開発は止まってしまった。

ひろゆき 長期的に見ればバッシングがあろうと開発は進めるべきでした。しかし、日本社会は国民の大多数が評価することを推し進める構造ですし、それが民主主義なので仕方ありません。それで将来の日本が悪い状況になろうが国民が選んだ結論ですので……。 =後編につづく

(構成・高田晶子)

▽ひろゆき 1976年、神奈川県生まれ。99年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設。2006年に「ニコニコ動画」を開設、09年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。15年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。現在、フランス・パリ在住。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇