コロナ禍で中止か無観客開催か NHK紅白に問われる存在意義
リモート出演か根本的な見直しか
「NHKはどんな形であれ紅白を絶対にやるでしょう。収録ができなくなる大河や朝ドラなどのドラマと違って、いくらでもやりようはありますから。今はコンサート会場や別スタジオからの中継というのもあるし、無観客開催というのも選択肢のひとつ。第2波、第3波の渦中だったとしても、『家で紅白を見ましょう』と、“ステイホーム”を訴える格好の機会になりますから」
しかしながら、紅白の存在意義そのものを問う声もある。「この際、一度やめてみたら本当に必要かどうか分かるのではないか」と言うのは、音楽評論家の富澤一誠氏だ。
「かつての紅白は、その年を代表するヒット曲、歌手が一堂に会するというコンセプトでしたが、現在はその原点からかけ離れています。出演の基準も“NHKへの貢献度”とか“特別枠”などとあいまいです。かつて『日本レコード大賞』があるTBS以外の局が集まって『日本歌謡大賞』(1970~93年)をやっていましたが、それも終了し、時代に合わせて『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)などに変わっていきました。五輪や高校野球が延期(中止)になる中、『紅白歌合戦』も今のあり方にこだわらず、新しいカタチを模索していく時期なのでは」
前出の城下氏も“紅白の変化”を認めている。
「今は、毎年、おなじみの歌手がかつてのヒット曲を歌う“懐メロ歌合戦”のような番組になってしまっています。かつては歌手やアーティストにとって、紅白に出演することは最大の目標でありステータスでしたが、今の紅白にそこまでの権威はありません」
無観客開催か、リモート出演か、はたまた企画の根本的な見直しか……。今年の紅白は「コロナ時代の新しい紅白」を問われることになりそうだ。