著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<5>麻雀は常に「情報処理」の能力が求められている

公開日: 更新日:

 さて、日刊ゲンダイの連載も進んできたので、自己紹介の気持ちで、私自身の牌譜を紹介しよう。

 第15期麻雀名人戦(週刊大衆主催)に、打ち手として出場した時の譜である。牌活字を使って読む麻雀が定着したのは、この名人戦の人気が大きかった。このような企画が世に問えたのも、阿佐田さんというリーダーがいたからである。

 私が和了した局面だが、配牌三向聴でドラ「四索」が2枚。七対子を狙っても三向聴で、かなり恵まれた牌姿。しかし、チャンス手は確実にあがりたい。そうしないとツキが落ちるからで、緊張する場面だった。

 第1打「一筒」の後、ツモった「四萬」を大切に残す。万子で一面子を作りたいからだ。ところが、「三萬」あたりを引いての順子になってくれず、双牌待ちの愚形になった。これでも聴牌である。

 黙牌で、3巡ほど回す。摸打10巡目に「九索」を引いて、私の手が止まった。ここが、この局面のヤマだった。「九索」は初牌。普通なら、もっと早く河に捨てられる牌だ。オタ風の「西」をポン、副露した南家が気になる。

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