娘の家出が元で…梶原一騎の実弟・真樹日佐夫との奇妙な縁
劇作家・梶原一騎氏とは不思議な縁が続いた。
馴染みの高田馬場の居酒屋に二十歳すぎの明るい女の子がいた。働き者で店のマスコットガールのような存在でもあった。ベタ褒めしていた店長がある日、彼女の素性を何げなく話してきた。
「あの子、漫画家の梶原一騎さんのお嬢さん。理由あって家出してきて住み込みで働いている」
記者は好奇心の塊。直接、彼女に聞くと、隠すことなく話してくれた。
「厳しい父親で家庭内暴力みたいなことがあって、私は耐えられなくなり飛び出した。いまだに連絡先は教えていない」
家出してすでに1年近く経っていた。家庭崩壊のような梶原家の話を聞き、取材の旨を伝えると了承してくれた。告白は相手方に当てるのが鉄則。彼女の話をもとに練馬にあった梶原家に当たった。対応したのは梶原氏の母親だった。厳格な雰囲気が伝わってくる人だった。
「本当にあの子が言ったのですね」と念を押してきた。万が一に備えて録音していたテープの一部を聞かせた。「確かにあの子の声」と事実関係をほぼ認めた。記事になった。さほど大きな反響はなかったが、「娘に会わせて欲しい。連絡先を教えてくれ」と梶原家から言ってきた。