樹木希林に「会ってみたい」と言わしめた伝説の芸能記者K
芸能記者として影響を受けた先輩がいる。
「人は見た目から」という言葉があるが、K記者は見た目からして違った。
昭和の記者はありふれたスーツにショルダーバッグ(両手が空きメモを取りやすい)。学生の使うノートに安いボールペンを使っていた。
■内ポケットには黒革の手帳とモンブラン
K氏は仕立てのよさそうなスーツを着こなし、内ポケットには黒革の手帳とモンブランの高級ボールペン。セカンドバッグには愛用のパイプ道具一式。とても記者とは思えない。よくお茶(お酒)に誘ってもらった。
K氏は決まってホテルのバーを指定。オークラ、帝国ホテル、ニューオータニといった一流のホテルだった。スタッフの誰もがK氏を知るバーには相手の好みを考え、常に数種類のボトルが入っていた。K氏はこう話していた。
「僕らが仕事で会うのは芸能人か芸能関係者。テレビ局の前にあるような喫茶店が分かりやすく便利だけど、ホテルのバーならどんな相手にも失礼にならないし、ゆっくり話せて隣席の人に話が漏れにくい。バーぐらい知っていても損はないよ」