娘の家出が元で…梶原一騎の実弟・真樹日佐夫との奇妙な縁
実の娘が気にならない親はいない。親子の仲が戻るに越したことはないが、娘さんの意思を確認せず教えるわけにはいかない。ほどなくして無事に実家に戻った。思いがけぬ形で梶原家の修復を手助けする形になり、思いがけぬ付き合いが始まった。
当時、梶原氏は肝機能障害などで酒はドクターストップ。代わりに弟の真樹日佐夫氏がお礼の席を設けてくれたのがきっかけだった。
「兄貴は直接、君にお礼は言わないが、娘が戻ってきたことを本当に喜んでいた。ありがとう」
真樹とはウマが合った。乃木坂にあった極真空手の「真樹道場」に稽古が終わる時間が待ち合わせになっていた。時には「オマエもやってみろ」と空手の真似事をやってみたが、「痛い」記憶しかない。
稽古が終わると銀座にも連れていかれることもあった。夜の銀座をサングラスもかけたまま歩く。人が道をパッとあける迫力は変わらないが、隣にいる私を知人に見られたことがあった。「あんな人とも付き合うの」と言われたこともある。店では自慢の鋼鉄のように硬い胸や太ももをホステスに触らせるなど、陽気で楽しい飲み方をする人だった。それから間もなくして梶原氏が亡くなった(享年50)。